逆らいたくない
「どうしたんですか?安西先輩」

隣を歩いていた彼が言う。

畠山君。

高校の時に付き合い始めた、一つ下の後輩。

高校を卒業し、別々の大学に通い始めた今も、交際は続いている。

…交際?

少し違うかもしれない。

私達の関係は、『主従』。

彼は、年上である私を遠慮なく呼び捨てにし、目上の人間に対する礼儀も弁えずに、好きなように私を扱った。

普通ならば憤慨すべき所だ。

後輩の癖にその態度は何?と、咎めて距離を置いて当然だと思う。

だけど、私はそうはしない。

何故なら…。

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