彼女の愛すべきドビュッシー
教科書に載っていることを、

覚えて、

それが本当だと、

なにも疑ってなんていない。

「すごいひねくれてるよね、

 あたしって。」

「そんなことないよ。

 すごい哲学者なんじゃない?」

「だって、

 ドビュッシーも、

 こんなに

 素敵な曲を書くのに、

 人妻と不倫ばっかりして、

 あげくのはてに、

 彼女自殺未遂してんのよ。

 なんか、

 そんな情報、

 聴かないで弾いていたかったよ。

 だから、

 あんまり時代背景とか、

 そりゃ、

 この時期に戦争があった。

 とかはいいけど、

 もお、深く突っ込まないことにしたの。」
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