彼女の愛すべきドビュッシー
「ありあちゃんなんてさ、

 怒っても、

 怒っても、

 次のレッスンはケロっとしてくるのよ。

 大抵、

 やめちゃう人もいるのよ、

 なかには。

 あの子は不思議。

 また普通に、

 先生こんにちわってきて、

 かといって、

 ちゃんと直ってるわけでもなくて。

 また怒っちゃうのよ。

 そのうち、

 こっちも本気よ。

 あの子とはピアノで、

 本気の喧嘩してるみたいよ。」

「そうなんですか。」

「でも、

 ほんと、

 楽しそうに弾くわよね。」

「はい。」
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