彼女の愛すべきドビュッシー
レッスンの日、

教室の部屋をあける前に、

先生の怒鳴り声がする、

「ここのタンタタンタタン、

 のリズム、

 また違ってるよ。

 何回めよ!!

 練習してきた?

 全然進歩してないよね?

 もお、

 ここで弾けるようになるまで、

 練習してなさい!!」

バタ、

ゴチっ。

「あ、修君いたの。」

ドアで頭を打つ。

先生が急に出てきた。

「もー。

 あたし、一服。」

彼女はこっちも見ないで、

言われたところを何度も弾いていた。

なんとも言えない緊張感、

ピリピリ感に包まれていた。
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