彼女の愛すべきドビュッシー
「うん。」

「ドビュッシーもさ、

 ほんとは言いたいのに

 言えないこととかあったんだよ。

 気難しい性格だったみたいだし。

 世間では不倫って言われるけど、

 ただ、

 旦那さんがいる人を好きになってしまって、

 忘れようと思っても、

 やっぱり忘れられなくて、

 ああ、

 さみしい。

 つらい。

 好き。

 愛してる。

 とか、

 そういう感情、

 純粋な。

 だからあんなに切なくて、

 でも時々強くて、

 彩のある曲がかけたんだと思う。」

「やっぱり、

 ありあちゃんは

 すごいよ。」

「どこがよ?

 自分勝手にもほどがあるよね。

 連絡しろっていってたのは

 こっちだっていうのに。」
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