理想の彼氏
「フフっ。やっと思い出しましたか。お母さんに怪しまれないの、大変だったんですからね。
ぼくは『理想の彼氏』から来ました。学校までご一緒させていただきます。」
陸は不敵に笑った。
でも、いつもとは違う登校になるので、内心はとてもうれしい。
「ところで、どうして私の名前を知ってるの?」
「お母さんが呼んでいましたから。」
「そう。改めて。私の名前は高橋 佳夜。ぴちぴちの高校生だよ。」
「ふ~ん。佳夜か~。いい名前だね。」
「会っていきなり呼び捨て?」
でも、いい名前だねって言われたのはうれしかった。
「俺、彼氏だよ。俺の事も陸でいい。
いい名前をありがとう。」
「あ・・・いえ・・・。」
なんなのこの人・・・ってか陸。
恋をしたことのない私までこんなに胸キュンな感情が出てくるなんて・・・。
しかも、だんだん俺様系になってきてるし。
私のマンションから最寄りの駅まで徒歩10分くらい。
最寄りの駅から学校まで5駅。
登校には約40分費やす。
いつもは退屈だけど、今日はワクワクしてくる。