あの子
困るなぁ……
来るよね?って……
行かねえよ。
「ごめ――」
「あ、美術室にペンケース忘れてる。
ごめん、やっぱりあたしパスするね」
サバサバとした物言いの女は、肩まで伸びた髪の毛をなんともないように掻く。
なんだか、女の魅力、欠けてる感じ。
でも、モテるんだよな。なぜだ?
しかも、断ろうとしてたのに……
「あ、それと。ゆうくん、」
その女に心中舌打ちした直後だったので、ギクリと身体が強ばった。
「美術の先生、呼んでたよ。コンクールがどうたら……って」
僕、美術部じゃない。
コンクール?何のこと?
「……行きなよ、美術室」
……そういうことかよ。