あの子
その女に促された、という理由でなんとかカラオケ行きは見送られた。
みづきとか言う女はしょんぼりして、促した本人を睨むように見ていた。
あーいやだな。そーゆーの。
僕、平和主義だし。女のそーゆー嫉妬とか妬みとか、嫌いだなぁ。
「さっき、何か言い掛けてたのに、ごめんね」
「…は?」
美術室に一応行くフリをしている中、同行した女は床に謝るように言った。
なんだ、分かっててやったのかよ。
本格的に、イヤミか、コラ。
また心中舌打ちすると、今度は笑い声が聞こえた。
「…ふふ……アハハっ」
「なんだよ」
「いや、いつもシラケてるけど、実はゆうくん、女の子に面識無いだけなんだと思ってさ」
は?な、に…
「それに、あたしいつも思いついたこと言っちゃうんだ。
小5くらいのとき、ミニバスの監督が、
『へそが茶を沸かす!!!!』って言ってて、
次の日に友達とカツアゲされたとき、
『どうゆう意味?』って聞いちゃってさ。
ほんと、KYで考えたことがすぐ口に出るの」
何言ってんの?コイツ。