あの子







結局、突拍子な質問をされて、知りもしないのに緊張で頷いたのが失敗だった。

体育館脇の自動販売機で、ひよりちゃんは女友達と話をしている。

「なんだー、バスケじゃなかったね」
「せっかくボール用意したのに」

「ごめんね。先生にちゃんと聞いてなかったんだ~えへへ」


悪いことしちゃったな。

嫌われたかも。
あぁ、僕は勇気がないな。


「あ、かいくん」



ひよりちゃんの声が鼓膜に届く。

そのたびに、耳がじんじんして。



「バレー強すぎ。男子引いてたぞ」

「え?まじ?アハハハ」



かいくんとひよりちゃん、つき合っているのかな。

やっぱり、お似合いだ。








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