あの子
放課後。
いよいよ天気が荒れてきた。
どのクラブも中止になって、俺も早めに帰ろうと支度をしていた。
「コースケ!」
珍しく息を切らしたかいが、鞄を持つ俺の腕を掴む。
「ひより!ひよりを見なかったか!?」
ひより?
あぁ、かいはひよりっつー幼なじみにゾッコンだもんな。
でも、ここまで慌ててどうした?
「見てない」
「ちっ…!!どこ行きやがった、アイツ」
「…帰ってないのか?」
「靴はあるんだ、でもリュックがない」
そう言って、荒れる天気を見て顔を青くするかい。
汗なのか外を走ったのか、かいはビショビショで。
ほっとけないので、俺は教室に鞄を置いて靴を履いた。