あの子
第1体育館にも、剣道場にも、弓道場にも、いない。
こりゃ帰ったって。
でも幼なじみのかいが、あんなに必死ってことは、只ならぬことに違いない。
諦めかけて、あとはかいに任せようとクラブ棟に雨宿りした時だった。
キュッキュッ――――
この音、なんて言うんだっけ。
昔、バスケ漫画で言ってたな。
そうだ、スキュール音。
こんな天候で、いくらインドアスポーツでも、誰がバスケなんか…
そう思い、クラブ棟の体育館、正式名『第3体育館』に歩を進めた。