あの子




思ったことが、口に出ていた。


「…」

「ま、計算なわけねーよな」



乾いた笑い声が、体育館に響く。

雨の音は反対に、ねちっこく落ちる。




「かいくん」

「あ?」

「この前、一緒にいたいからバスケ続けなかったって、言ったでしょ」


「……あぁ」



人生初の告白だった。

なのに、



「お前『先帰ってて』の一点張り。

 ひどいなぁ」




あれは俺でも傷付いた。








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