あの子
「嬉しかった」
言葉そこでを区切ったあと、ひよりは俺に近付き、足元にあるボールを拾う。
ダンダン、
ボールを床に叩きつけながら、ゴールの方へいくとシュートをした。
バスッ
気持ちの良い音とともに、ボールはリングをくぐる。
俺は、何も言い返さない。
ひよりの言葉を待つ。
「小学校からずっと一緒だったから、かいくんと気まずくなるのは嫌だったからなぁ。
上達しない恐怖もあった。
情けないよね、でも意外と自分が脆いのに気付いたの」
シュートの決まったボールは、ひよりの方へ戻る。
脆いわけないだろ。
何年泣くの我慢したんだよ。
全国大会の予選で靭帯切ったときも、叫んでたけど、涙は出さなかったのに。
病室に行ったときも、笑いもしなかったけど泣きもしなかったのに……。
「でも一番、落ち込んだのは、」