あの子
「かいくんは部活やめても、次に行ってる。
あたしは、いつまでも…引きずってる」
ひよりの手が震えてる。
「ひより」
「自分でも分かってるんだ、未練あるって」
カタカタ、ガタガタ、
「おい、ひより」
「けど、また笑ってプレーした―――」
「ひよりっ」
とん、とんとん―――
ボールが落ちた。
けどどーでもいい。
「お前、考えすぎ」
胸が温もる。
今俺の腕の中には、震えるひよりがいる。
ずっと好きだった、ひよりが。