あの子




ノートを抱え、教室を目指す。

その間も、悶々と心がすさむ。

次ひよりちゃんに話しかけられたら、ちゃんと謝ろう。


「ひより~」


廊下に、声が響いた。

うわ、わ!!

ひよりちゃん、来ちゃう!!!!


「ちえ、なぁに?」



教室と廊下を隔てた窓が開く。

ひょっこりと、ひよりちゃんが顔を出した。


「あ……」


目が合った。


けど、話しかけられたわけじゃない。

脂汗いっぱいな顔を、ひよりちゃんからそらした。







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