背伸び恋愛日記
翌日から彼女は生徒会室に顔を出すようになった。
藤堂とも仲がいいようで、
最近は似たような髪型をしているし、
暇があればメイクだの化粧品だの話をしている。
そこにたまにおちゃらけて入るのが涼平で、
涼平を制すのが俺。
思ったよりも早く溶け込んでいく彼女の姿に、
俺は安心を覚えた。
「新、いい加減ひなちゃんの名前呼べよ。」
唐突に涼平が口を開く。
なんなんだ突然…。
「俺と先生はひなちゃんって呼んでるし、
お前だけ君とか野々村とかなんか堅苦しいんだよねー。」
「べっ、別にいいだろうっ。」
始まった、涼平のニヤニヤが。
知り合って間もないのに呼び捨てなんてできるわけがない…。
「あの、無理はなさらなくてもいいです…。
もしよかったらでいいので、
雛とか雛音とか気軽に呼んでくださいね。」
遠慮がちに微笑む彼女に、
勝てるわけがなかった。
入学当初よりも少しだけ大人びたその表情は、
俺の癒しになっていた。