背伸び恋愛日記
校門を抜けると長い校舎までの道があって、
両脇には満開の桜の木が花びらを降らせながら立っている。
思わず立ち止まってしまうほどきれいで、息をのむ。
さわさわと気持ちのよい風が、
あたしの長い栗色の髪の毛と桜の花を右へ流した。
桜の木の下では在校生たちが部活は委員会の勧誘をしていた。
「バスケ部部員もマネージャーも募集中ーー!」
「茶華道部女の子入ってねー!」
「柔道部がたいいい奴はいってこーい!」
年末のセール並み、いやそれ以上に大きな声で。
ただ一カ所だけ、静かなのに異様に存在感のある場所があった。
逆に静かだからとかそうゆう理由でなく、
よくわからない威圧感と、
包み込む暖かい感じがその場を異様なものにさせていた。