約束、しただろ…? 【TABOO】
ホシイモノ
「紗季…」
いやらしく耳に響く水音。
掠れて艶を帯びた声。
柔らかな黒髪が何度も頬を擽る。
幾度も与えられる甘い刺激で、言い様のない感覚が背筋を這いあがる。
「ぁ‥んっ…」
「声出すと、奴らに聞こえるぞ?」
笑みを含んだ声が耳元で囁かれ、息が乱れて開いた唇をグッと噛みしめた。
ここは森林公園。
こんもりとした茂みの向こうの広場からは、皆がバーベキューを楽しむ声が聞こえてくる。
こんなはずじゃなかったのに。
どうしてこんなことに―――
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