momo's BAR
身を乗り出してももこさんの華麗な包丁裁きに見ていると急に手が止まった。

顔を上げるとももこさんの笑顔が目に入った。

「優子ちゃんは本当に料理が好きよね!上手だし。誰に似たのかしら?」


まぁ、母親ではないことは確かだ。

「だって私ももこさんの娘だもん♪」


本気でそう思うときがある。
私とお母さんは全く似ていない。
むしろ、ももこさんにそっくりだ。
…中身はね。
外見は全く似ても似つかないのだけれど。


「ふふ。まぁ、優子ちゃんは私が育てたようなものだもの!でもどうしてめぐは男らしく育っちゃったのかしらねぇ?」


「ももこさん!そんな事言ったらめぐに怒られちゃうよ〜!」


「だって可笑しいじゃない?二人とも私が育てたのに」


「う〜ん。確かにねぇ。めぐはうちのお母さんに似てるよね!性格がそっくりだよ!あっ、でも外見はももこさんにそっくりだよ!」

あーぁ、私もももこさんみたいな綺麗な顔に生まれたかったよ!
うちのお母さんは童顔で、私もその血をしっかり受け継いじゃってホント童顔なんだもん。


「優子ちゃん、そろそろめぐを起こしてきてくれる?奥で寝てるから。」


「うん!」


ももこさんに言われて私はピョンとカウンターから降りてお店の奥に向かった。




黒く塗られた固いドアをあけて中に入る。

階段を昇って目の前のドアをノックした。

「めぐ〜、入るよ」

静かにドアを開けて中に入ると途端に何かに躓いた。

『わっ』

慌てて転ばないようにバランスを取る。

『ふ〜』


なんとか転ばずにすんだ。
振り替えって足元に視線を落とすと、
「めぐ!」

全く、何がどうなればベッドからここまで移動するわけ?


少し呆れながらめぐの肩を揺すって起こす。
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