天使の声を…

｢冗談よ冗談！…でもアイレンなんか買いたいもの…あるの？｣


｢いや…いつか欲しいものができた時のために…貯めてる…｣


｢あら、いいじゃないその考え…でも…いくら入ってるの？見せて｣


ユリナはアイレンの腕を掴む。


｢…ちょっとだけだぞ…｣


そう言い、アイレンが財布を開けると…


｢……うそ！！なんで？！｣

ユリナが驚くのも当然だ。財布の中には何十万ものお金が……


｢なんでそんなに貯めてんのよ！いつからそんなに…？｣


｢いや…俺が10歳になった時にこの財布もらって…それから小遣いとかでこんなになった｣


ユリナはまだ驚きが隠せないようだ。


｢信じられない…こんな沢山のお金を堂々と財布に入れてる人がいるなんて…｣

｢悪いかよ…｣


｢……まあ…いいわ…さ、行きましょ｣


｢お…おう｣










初めての場所だからユリナについて行くアイレン。


見ているとユリナはてきぱきと迷うことなく買い物をして行く。


―ユリナって…なんかすごいな…―








すると…


｢あんた…聖術士かい？｣


店の主人が突然ユリナに訪ねてくる。


｢え…あ…はい、そうですけど｣


｢いやあ、聖術士なんて初めて見たよ…指輪をつけてるって本当だったんだな｣

｢あ、そうなんですか…｣



主人と絶え間無く会話していくユリナを、アイレンはただ見ていた。


｢あのさぁ嬢ちゃん、この町の西の方角にダルト遺跡っていうのがあるんだ、そこに行けば魔王のことについての壁画があるらしいんだ｣


｢え？うそ…｣


｢俺の友達で見たことがあるって奴もいるし、どうだ？行ってみないのか？｣


｢魔王の壁画…ねぇ…｣


｢しかも壁画の他に結構お宝が眠ってるらしいんだ、どうだ？そこの彼氏も一緒に行って見つけたお宝この嬢ちゃんにあげればいいじゃんかよ｣


主人はアイレンを見ながら言う。