天使の声を…
「ば…っ馬鹿!彼氏でもなんでもねえし!」


アイレンは顔を真っ赤にしながら主人に訴える。


「そうなのか?まあ、行くか行かないかは嬢ちゃん次第だ」






「壁画…」


考えながら町を歩くユリナにアイレンは


「なあなあ!壁画はともかく、お宝が眠ってんならそこ行って宝見つけようぜ!」


「あなた…お宝目当てでしょ…私はあなたがそこに行って万が一何かがあったらって心配なのよ…人が寄り付かない場所って魔物が出やすいのよ…」


ユリナは心配そうにアイレンを見る。


「…そうか…でも、そこに行けば魔王を倒す手がかりが掴めるかもよ?」


「…そうかもしれないけど…」


「まあいいじゃん、行こう、俺だってそう簡単には死にゃあしねえし」


「…あなたが大丈夫なら…」

ユリナはアイレンを見て微笑む。


「じゃあ、行こうぜ!」











ダルト遺跡は町を出ると遠くに微かに見える所にあった。


「うわぁ…すごい…」


「そうね…本当に遺跡だわ」


ふたりは遺跡の大きさに圧倒されながらも先へと進む。


「アイレン、気をつけてね…いつどこで魔物が現れるか分からないのだから」


ユリナは真剣な瞳でアイレンを見る。


「分かったよ…でも…壁画ってどこにあるのさ…」


「奥の方に…あるのかもしれないわね…ここの遺跡も…結構広そうだし…」


ユリナはまだまだ続きそうな遺跡の奥を眺める。


そんなユリナの横で、アイレンはあるものを見つける。


「お?なんか箱があるぞ」


彼が近くにあった箱を開けると…


「うわぁ!」



なんとその箱の中には蜥蜴(とかげ)のような魔物がいた。


「…アイレン!」


すぐにユリナが発動した術により、魔物は消滅する。


「助かった…」


「バカ!だから気をつけてって言ったのよ!こんな人のいない所なんて、魔物がたくさんいるのよ?!」


ユリナはアイレンの手を握る。


「あなたに何かあると…本当に私…」


< 11 / 213 >

この作品をシェア

pagetop