天使の声を…
「だから…この部屋にはお宝はないみたいだねぇ…」


「でも…ここで最後みたいだぞ?」


アイレンと女がふたり話している横でユリナはひとつだけ色が違う石の壁を押してみた。



すると



「きゃっ」


壁を押すとそこの部分だけが引き戸のように開く。


「え?ユリナ…?」


アイレンは目を丸くしながらユリナを見る。


「開いた…みたい」


その向こうには、また新たな部屋があった。


そこには何万本の白い花が生えていた。



天井には大きな穴から陽がさしてある。だから花が咲いているのだろう。


「…うわぁ…すげぇ…」


「綺麗…」


「でもお宝は?どう見たって見当たりっこないよ?」

女はアイレンとユリナに言う。


「…この花畑が…宝なんじゃないかな…」


「ユリナ?」


「この花…見たことない花だよね…だからこれが…もしかしたら宝なのかもしれないって…」


「…そうかもな…」


アイレンとユリナはふたりで花を眺める。


その横で女は肩を落とし…

「はぁ〜お宝って物じゃなかったのかぁ……ねえ、あんた達も…宝を取りに来ることが目的だったんでしょ?どうしてそんなに…」


「アイレンはその目的だったけれども…私は魔王の壁画を見に来たの…」


「魔王の壁画?」


「ええ…私達、魔王を倒すために旅しているの…」


ユリナの言葉に女は呟く。

「魔王って昔っから悪いことしてる人だよなぁ…もしかしたら人間から金目の物盗んでるかも…そしてあたしが魔王を倒してお宝を手にいれる……フフ…なんていい話かしら…」



「おいユリナ…こいつヤバいこと考えてる?」


「……さあ」


「決めた!ねえ!あたしも旅に連れてって!」

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