天使の声を…

｢……！｣


ニコラはアイレンの翼に言葉を失う。


｢うそ…天使の羽なんて…本当にあるなんて…｣


｢魔王を倒すには彼のその力が必要なの…だから彼を守らないといけない｣


｢ねえ！彼の羽って高く売れる？｣


突然ニコラがアイレンの羽を見ながら言う。


｢はぁ？てめぇ何考えて…｣

｢ごめんごめん！冗談だよ｣

｢…まあいいわ…さ、そろそろ出ましょ、フューティスって場所を目指さないと｣


｢おう｣













3人は遺跡を出ると、近くの川辺で休む。


｢ふぅ…つかれた｣


アイレンは大きな石の上で休んでいる横で、ニコラはユリナに言う。


｢ねえユリナ、これからどうするの？フューティスって所に行って何するのさ｣


｢アイレンの力を使って魔界への道を開く…その後は魔王と戦うことになるけれど、アイレンの力が強いほど戦闘が有利になるの｣


｢じゃあ、アイレンを守らなきゃいけないわけだね…なるほど、ユリナの言葉の意味がよく分かったわ｣


｢…そうね…フューティスにたどり着くまでに彼の力もある程度つけておかなければいけなくなるわね｣



｢そっか……あとユリナ…あんたのその指輪…さっきの戦闘で見たけど…この指輪のおかげでユリナは魔法が使えるの？｣


｢ええ…そうよ…これと杖の力で…｣


｢なんか書かれてる…何？｣


ニコラはユリナの指輪に書かれている小さな文字をじっと見る。


｢これ？これは"ウィダルの文字"と呼ばれているわ…ウィダルは神に近い存在の勇者で、あの壁画の頃の魔王の力を沈めた人なの…彼のおかげで今私達がこうしていられるの｣


｢魔王の力を沈めた？でも今魔王は…っ｣


｢徐々にまた力をつけ、世界を壊そうとしてるの…魔王は…しかも…アイレンや私達も狙ってる…私達がいなければ魔王の思い通りに世界を壊せるのだから｣