天使の声を…


「登りきったぁ〜!!」


洞窟を抜け、山道を登ったアイレンは両手を上へと伸ばす。


「本当に…もうつかれたわ」

「…さすがのあたしも…こんなに疲れたのは久しぶりだね……」


「ニコラ、行こうぜ」


ユリナとニコラは疲れきっているというのに、アイレンはなぜか元気だ。


「なんでそんなに元気なのさ…あたし達なんてヘトヘトなのに」


「彼には羽があるから、そのおかげで体が軽く感じることがあるみたい」


「うらやましいねぇ…あ、そうそう、あたしちょっと自分の家に寄りたいんだけど…いいかな?」


「私はかまわないわ、彼はどうするか分からないけど」


「ん?別にいいぞ」


「分かった、ありがとう!あたしの家はクラビートって町にあるんだ、ちょうどフューティスに行く方向にあるから」


「ああ」


「ただちょっと早めに済ませないとね…やっかいなことがあるからさ…」



「やっかいなこと?」


ユリナが首を傾げる。


「まあ…知らなくてもいいよ」


ニコラはそう言うと歩きだす。



< 23 / 213 >

この作品をシェア

pagetop