天使の声を…
「登りきったぁ〜!!」
洞窟を抜け、山道を登ったアイレンは両手を上へと伸ばす。
「本当に…もうつかれたわ」
「…さすがのあたしも…こんなに疲れたのは久しぶりだね……」
「ニコラ、行こうぜ」
ユリナとニコラは疲れきっているというのに、アイレンはなぜか元気だ。
「なんでそんなに元気なのさ…あたし達なんてヘトヘトなのに」
「彼には羽があるから、そのおかげで体が軽く感じることがあるみたい」
「うらやましいねぇ…あ、そうそう、あたしちょっと自分の家に寄りたいんだけど…いいかな?」
「私はかまわないわ、彼はどうするか分からないけど」
「ん?別にいいぞ」
「分かった、ありがとう!あたしの家はクラビートって町にあるんだ、ちょうどフューティスに行く方向にあるから」
「ああ」
「ただちょっと早めに済ませないとね…やっかいなことがあるからさ…」
「やっかいなこと?」
ユリナが首を傾げる。
「まあ…知らなくてもいいよ」
ニコラはそう言うと歩きだす。