天使の声を…
「…て…起きて…」
どこからか声が聞こえる…
聞いたことのある声…
「起きて、アイレン」
「ん……」
目を開くと、目の前に先程まで睨み合っていた女…
「うわ!!なんだよ!」
「な…何?せっかく人が心配してたというのに?」
「う、うるせぇよ…てか…ここはどこだよ!!」
「誰かが私達を人間界へと飛ばしたみたいね」
「はぁ?」
ユリナは一息ついてまた喋り出す。
「さっき…誰かが出した穴によって私達はきっとこの人間界まで来ちゃったの…しかも…世界の果てにあると言われてる、フィチの森って所に」
「え?!ここ…人間界かよ?!じゃあ俺がいた町は…」
「天上界…この人間界の遥か上にある世界なのだから…この世界にはないわ」
そう言われるとアイレンはユリナの肩を掴む。
「なあ!!俺…どうすればいいんだよ!突然いなくなったから…あっちの奴等…きっと心配かけてるに違いねぇよ」
「ちゃんと戻る方法はあるわよ」
「え?なんだよ教えてくれよ!!」
アイレンはユリナの肩を掴んでる手に力を入れる。
「ここから遥か南西に行けば、フューティスっていう場所があるの…そこに行けば天上界へ行けるわ」
「分かった!じゃあ早くそこに行こう!」
「そのかわり!」
ユリナはアイレンをじっと見る。
「…なんだよ」
「一緒に魔王を倒してくれるならいいわよ」
「な…なんでだよ!なんで俺がそんなことしなきゃなんないんだよ!!」
「さっきも言ったでしょ?あなたが必要だって、あなた、天使の羽があるでしょ?その力が…魔王を倒すのに必要なの」
「だからって…」
するとユリナは少し笑う。
「どっちにしろ、私がいなければ天上界に戻れないけどね」