天使の声を…

｢…すごい…ウィダルってそんなことしてたの？！｣

突然ニコラが本を閉じながら言う。


｢何かあったの？｣


｢彼が様々な町を転々とするごとに魔王はその町に魔物を出現させてたみたいだけど、彼は難なく魔物を撃退したみたいだ…ひとりで…見てこれ｣


ニコラがとある1ページをアイレンとユリナに見せる。


そこには、巨大な魔物にひとりで戦うウィダルの姿。


絵の中の彼は肩くらいまで長い金髪で、左手に盾、右手に剣を持つ戦士だ。


｢…すごいわね｣


｢だよねぇ…こんな人、実際いればいいんだけど…｣

ニコラはまだ寝ているエーゼルをチラリと見ながら言う。


｢…でも彼は生きてるよ、きっと…魔王を倒すために、旅してるはず｣


｢うん…そうだよね、もし逢えたなら、一緒に魔王を倒したいさ｣


｢そうね…｣


｢…1日中ここにいちゃったね…もう夕方…｣


｢よし！今日はこの村のレストランでなんか食べようか！｣