天使の声を…

｢え？お前が？｣


｢そう、だから…｣


ユリナが言い終わらないうちにふたりの目の前に一匹の魔物が現れる。


｢ガルル…｣


魔物は牙をむき出し、こちらを睨み付けている。


｢うわ…どうすりゃいいんだよ…｣


｢アイレン！剣があるでしょ！｣


ユリナは一歩下がり、杖を構える。


｢…やるしか…ねえか｣


アイレンは腰に下げてた剣を引き抜く。


｢うおぉぉ！｣


アイレンは魔物に向かって剣を振り上げる。


しかし、魔物は攻撃を受けると、こちらに向かって突進してくる。


｢ぐわ！｣


魔物の鋭い爪により、アイレンは左腕に怪我をする。

｢アイレン！…闇から出でし汚れき者よ…今ここにて消えよ！｣


ユリナが呪文を唱えると彼女の右手につけていた指輪が光り出す。


｢ギャア！｣


彼女が出した魔法によりアイレンから離れた魔物は息を切らしながらこっちを睨む。


｢アイレン！今のうちに！｣

｢おう！｣


アイレンは魔物に向かって走り、魔物に向かって勢いよく切りつける。


｢ギャアァ！｣


アイレンがとどめを刺したと同時に魔物は消えた。


｢やった！勝った！…だけど…どうして魔物が？人間界はそんな世界なのか？｣

｢魔王によってこうなったの…それまでは平和な世界だったのよ…あ！アイレン怪我！怪我を治さないと！｣


｢え？いや、こんな怪我…すぐ治るって｣


｢ダメよ！世界を守る者が傷ついてちゃ！今治すからじっとしてて｣


ユリナの手ががアイレンの腕に触れた時、彼はドキッとする。


するとユリナは杖の先を傷口に近づけると同時に彼女の指輪がまた光り出す。



｢………あれ？治った？｣


一瞬腕がフワリという感覚になったと思ったら、もう怪我が治っていた。