好きになっちゃっていいですか?
先生はいつもの通り資料を読んでいた。

「家内さん。また質問ですか?」

私は何も言わずに参考書を開けた。

先生に質問をしたかった訳じゃない。

ただ近くに居たかった。

「わかりました?」

反応しない私。

それの理由に気付いたのか先生は喋りだした。

「さっきのヤツ、良かったですね」

え?

「周君いいと思いますよ?
性格も良くてみんなからの人気もある…」

先生が黙ったのは私が投げた筆箱のせいだろう。

私は涙が出る前に教室を後にした。
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