キミに捧げる温もりは愛と呼ぶ
「・・・・・。」
何も言い返せなかった。
だってこの人は何がなんでも
私を連れ戻す気であろう。
「では、玲斗君。またのちほど…」
そう言ってテラスから去る
お父様の背中を睨み付けながら
私は瞳から涙を流していた。
「大丈夫?風咲・・・」
コクリと頷く私を
彼はそっと抱き締めてくれた。
堪えていた涙が一気に溢れてくる。
それは、きっと
私が一番安心できる場所に、似ていたから。
さっき、掴んだ右腕に、残る温もりといい
今この温もりといい・・・
私の大好きな愁也にそっくりな温かさだった。