キミに捧げる温もりは愛と呼ぶ




親の権力を振りかざして、
脅してきたりイジメてきたり、
それが日々の日課だった。

だから、いつも学校内でも人気のない
裏庭のベンチで日向ぼっこをしていた。

でも、そんな中…………
たった一人だけは違った。

「みんなと遊ばないの?」

優しい笑顔で、
こんな私に問い掛けてきた男の子。
そこで出会ったのが愁也だった。

「うん。みんな私がいない方が楽しそうだし、
みんなにとって私は影が薄いから…」

「そんなことないよ!」

男の子はベンチに座っていた
私の横に腰をおろし
優しく、でもどことなく強く
私の手を握りしめた。

「君は一人じゃないよ。
友達ならここにいるでしょ?」

そういって、自分を指差しながら
にっこりと、笑う男の子に
初めて友達が出来た喜びが込み上げて
自然と笑うことができた。
< 120 / 207 >

この作品をシェア

pagetop