キミに捧げる温もりは愛と呼ぶ
「藍羅、お父様の言うことは絶対なんだろ?
・・・こればっかりは俺にはどーすることも」
「どうして?
愁也は私と婚約者の交際を、認めるつもり?
愁也は、私と、別れても平気なんだ?」
「だれも、そんなこと言ってないだろ?
俺だって藍羅とは別れたくない。
ずっと一緒にいたいよ。でも・・・」
「ほら、結局はそーなんでしょ!?
どうせ愁也も本当は仕事上手くいってないし
学校生活も上手くいってない私を
同情してるんでしょう?」
「ちがっ!」
「もういい!」
そのまま、泣きながら愁也の家を飛び出した。
その日は、あいにくの雨。
傘もささずに私は、どこか
見知らぬ所へ走っていった。
もうどこにも私の居場所なんかない。
誰も私を必要としてくれない。
「あんなに、あんなに
愁也だけは信じてたのに!
愁也だけは、本当に好きだったのに!」
泣き叫ぶ私の右腕に
いつものぬくもりを感じた。
誰か確認しなくても、分かる。
安心できるぬくもりだから。
でも、でも今回だけは・・・もう・・・