キミに捧げる温もりは愛と呼ぶ
それから、
私の目の前の世界から色が失われた。
愁也が亡くなった事を
お父様は喜ぶかの様に、私に
『諦めて麻乃雲家のご子息と婚約しなさい』と
私の人生を前以上に押し付けてきた。
もう耐えれなくなった私は
最低限の必要な物だけを鞄に入れ
真夜中に自分の家を出た。
もちろん、家中のあちらこちらの入り口には
警備がしっかりと見張っていて
もちろん私の部屋の扉の向こうにも居る。
私は小さい頃部屋から逃げ出す為に使っていた
大きな絨毯の下にある
隠し階段を使って、お屋敷の中でも
使われなくなった廃坑の非常口に出た。
唯一そこだけは、幸い警備が居ない。