キミに捧げる温もりは愛と呼ぶ



そして私は
モデルの仕事を1からする為
名前を変えてオーディションを受け
再びデビューをした。

カメラの前では、
自分でもとびきりの笑顔になったつもり。
でも本当は、あんな笑顔も作り笑い。

私は本当の笑顔を
カメラに向けたことは一度もない。

だって、私が一番自然に笑顔になれ
一番輝ける場所は
カメラの前でも家族の前でもない。

今でも私の居場所は愁也の目の前だから……。

だからあの日から私は
本当の自分を隠していた。

泣いたことだってなかった。

いつの間にか私は
自分の感情を押し殺していた。

けど、忘れてしまった本当の私を
麻乃雲君は、まるで呼び戻すかのように……
麻乃雲君の前だけでは素直になれる気がした。

麻乃雲君は、愁也に似ていたから………………。
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