キミに捧げる温もりは愛と呼ぶ
《おかえりなさいませ藍羅お嬢様》
メイド達は、一斉に
私に頭を下げて来た。
やめて………。
私に、お嬢様と呼ばれる資格なんかない。
私は全部を捨てたのに
どうしてあなた達は、今でも私を
昔と変わらぬ扱いをしてくれるの?
《愁也様にも…再びお会いできて光栄です》
なんて、また全員で今度は愁也に頭を下げる。
「俺も…久しぶりにこっちの家に
帰ってこれて嬉しいよ」
微笑む愁也は如月財閥家の一人息子として
私は刹神財閥家の一人娘として…
でも、私と愁也との間に
とても距離を感じた。
それはきっと、私が
この家を飛びだし、刹神家の名を捨てたから。