キミに捧げる温もりは愛と呼ぶ
私は井上さんの口に
そっと人差し指を近付けた。
ハッと思い出したかのように
我に返った井上さんは慌てて頭を下げた。
「申し訳ございません!!!」
「良いんですよ、そんな……
謝らないで下さい。」
そう私が言うと井上さんは、
とても申し訳なさそうに何度も頭を下げる。
「親との縁を切った私に
財閥家の名を名乗る資格はありません。
その覚悟の上で、財産も名前も
全て捨てましたから。」