1. 君色-the great blue yonder-
その後どうやって学校に間に合ったなんて知らない。

遅刻はギリギリしなかった。

で、今ようやく授業が終ったところ。

『ってかお前、何であんなトコでズッこける?』

俊はさっきからこのネタばっか。

も―、そのコトは聞くなよぉ!

「俊のバカッ!」

『あぁ、はい。バカで悪かったねぇ―。』

「普通其処で開き直るかぁっ!バカ俊。」

そう馬鹿みたいな低レベルのやり取りをしていたら、

『菜-緒ッ!』

後ろから誰かが抱きついて来た。

「ゎゎゎ・・・沙希?!吃驚するじゃんっ。」

『えぇ?良いじゃん。沙希、菜緒に会いたかったぁ!あ・・・ハロー、俊!』

沙希がにっこりと笑った。

って、ちょっとタンマ!

こんな急な展開に菜緒の思考回路はついていかない。

今、確かに『俊』って言ったよね・・・?

ってことは、

もしかして、

「二人とも知り合い?!」

『そぉ!沙希と俊、中学3年から一緒ぉ。』

甘ったれた声を出す沙希。

「本当・・・?菜緒何も知らなかった・・・」

『知らなくて当たり前―☆会って二日目でしょ―?』

沙希が何故か可笑しそうに笑う。

本当、超吃驚!

予想外の展開に・・・菜緒は正直困った。

何故か何て分からないけど。

何か心がモヤモヤした。

そんな菜緒の思考を俊が遮る。

『俺見てて思ったんだけどさぁ・・・お前ら出会って2日目だろ?』

「『うんっ!』」

沙希と菜緒の声が重なる。

『仲良すぎだよ。もう”産まれた時からの中でーす!”って感じじゃね?』

俊が笑う。

そんな笑顔に菜緒の心は飛び上がった・・・
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