1. 君色-the great blue yonder-
咲には蹴られ、美紀には殴られた。

『咲ぃ、美紀ぃ。そんな目立つトコは止めといたらぁ??』

そう言う志穂が、菜緒には一番怖かった・・・

『いいか、お前?』

菜緒の髪を引っ張って、自分の顔に近づけながら咲は言う。

『志穂さんは西川君狙い。それぐらい見て気付け。』

『でぇ、話すの厳禁ッ!呼び捨て何かしたら・・・まじぶっ殺すよ。』

美紀はニッコリ笑って言う・・・

「話す・・・のぐらぃ・・・ぃぃ・・・じゃん・・・」

菜緒も負けずに言う。

負けない、負けらんないよ・・・

『駄ぁ目っつったら、駄目。いい?』

気持ちとは裏腹に、甘い声で志穂が言う・・・

「全然・・・良くない、よ。」

こんな時に菜緒の負けず嫌いの性格が突っ張る。

そんな事、言わない方がいい・・・

それくらい分かってるのに、口が勝手に動く。

『ハッ?!てめぇ、いい加減にしろよ!』

凄味のある声で咲が叫ぶけど、

「いい加減にしろはどっちさ・・・」

菜緒の口は止まらない。
< 17 / 23 >

この作品をシェア

pagetop