恋ラムネ
壱
*幼きころ*
「う~っ…ひっくっ、えぐっ…ぐずっ…」
木々に阻まれ、疎らな光が 降り注ぐ森の中…
1人グズグズと泣くこの声は私。
私は迷子になっていた。
始まりは今日の朝、ママとパパとの会話…
―――――――――――――――。
『苺華ちゃん…御免なさい。』
『今日約束していたピクニックだがな…』
『ママもパパもお仕事入っちゃって…』
『すまないが…また今度な?』
『うん、わかった。おしごとがんばってねパパ、ママ♪』
―――――――――――――――。
そう、物わかり良く二人を見送ったのが約3時間くらい前…
1人でちゃんとお留守番してたんだよ?
だけどね…
やっぱりお外行きたかったの…
パパとママと一緒にピクニックしたかったの…
気が付くと私は、お気に入りのポシェットを肩にかけて、元気良く玄関の扉を開いていた。
何処へ行こうかと悩んだ私の目の前に広がるのは、ド田舎宜しく森に囲まれた村だった。
保育園も小学校も中学校も高校も、村の外にあるらしい。
私にはまだ良くわからないけどね?
あ、保育園なら行ってるよ?
今日は休みなんだってママが言ってた。
さて、話を戻そう。
とりあえず私は村の道をトテトテと歩いた。
行先はわからない。
歩いていると座っている黒ネコさんに出会った。
「カワイー!!ネコさんなでていいですか?」
ネコさんは目を細めて気持ち良さそうに此方を見やる。
それを勝手に了承ととってネコさんの頭を撫でた。
「ふぁ~、フカフカだぁ♪」
頭を撫でてあげれば嬉しそうに擦り寄ってくるネコさんに笑いかければ、ネコさんはスクッと立ち上がると、何処かに歩いて行く。
「どこいくですか?」
子供の好奇心からか、私はネコさんの後を追って行った。
ネコさんはどんどん村の細道に入って行く。
子供の私がやっと通れる道…
そんな道を抜けると、森の入り口にたどり着いた。
「もり……?あっ、ネコさんまってくださいっ!!」
ネコさんは森の中に入って行く。
私はその後を急いで追っていくのだった。
それを後悔するのはあと少しだと知らずに……
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