恋ラムネ
「ネコさんどこですか~っ!?」
森に入って奥へ奥へと進んで行った私とネコさん…
けれどいつの間にかネコさんが見当たりません。
「う~っネコさーんネコさんどこですか~っぐずっ」
ネコさんが見当たらず、そして今自分が何処に居るのかもわからないそんな状況…
(でくちどこだか、わからなくなっちゃったです…)
とりあえず進めるだけ進んでみようと、更に奥へと歩いて行く。
けれど出口もネコさんも見当たらず………
「う~っひっくっひっくっふぇ~んっ!!!!」
そして冒頭へと戻るのだ。
「大丈夫…?」
突然聞こえてきたのは優しい声……
うずくまっていた私の後ろから聞こえてくる。
振り向くとそこには、着物姿の綺麗な男の子が居た。
「グッスッ…だれぇ…?ひっく…」
涙でぐちゃぐちゃになった顔を向けてそう問う…
多分私より年上だろうなぁ等と思いながら。
「この近くに住んでるんだ…君は迷子かい?」
その言葉に素直に頷けば…
「出口まで連れていってあげる。ほら…おいで?」
差し出された手に迷わず手を重ねる…
出口へ歩き出す優しい歩み…
暖かい手…
それに思わず微笑んでしまったら…
「うん、笑顔のほうが可愛いね」
そう言って笑う男の子、まるで何処かの王子様みたいだと思った私は、つい聞いてしまったのだ。
「おにいちゃんはおーじさまなのですか?」
私の質問に目を丸くした男の子は次いで吹き出した。
「あはははっ、王子様かぁ。う~ん…どちらかと言えば守り主かなぁ?」
「まもりぬし…?」
次はいつの間にか涙が乾いた私が目を丸くする番だった。
すると男の子は優しく笑って…
「そう、この森や村や村人達を守る守り主…、だから君を守るんだよ?」
正直に言うと、男の子が何を言ってるのかがいまいちわからなかったが…
私を守ろうとしてくれているのはわかった。
ギュッと男の子の手を握る、すると握り返してくれる暖かくて、優しい掌。
男の子の隣は、とても居心地が良かった。
どれくらい歩いただろう…
ふと、足元に違和感を感じて見てみると…
ニャー
「ネコさん!?」
それは、あの黒ネコさんだった。