佐藤君と鈴木君
第一話 サボリの口実
「頭遺体」
「遺体?」
「あ、間違えた。痛い」
 こめかみを抑えながらうんうんと唸る友人に、何馬鹿な事云っちゃってんのと呆れつつも大丈夫かと声をかけてやる俺って超が附くほどの友達思いじゃありませんか? なんちって。
「全然大丈夫ちゃうわ。」
 ま、なんて素っ気無い言葉! 親友がこんなに心配してやってんのに。嗚呼、でもなんか本当に辛そうかも。顔真っ青だ。保健室連れて行ってやろうかなーと思っているとガタリと奴が椅子から立ち上がった。
「保健室?」
「うん」
 連れてってやろうか? ううん、大丈夫やから。
「サトーせんせー保健室いってきますー」
「おや、鈴木君サボるつもりかね」
 頭痛いって云ってるワリにふざけてる友人のノリに合わせてやる。でもやっぱりしんどそうだなあ。
「ほんとに大丈夫かよ」
「大丈夫大丈夫。あーでも、先生にゆっといて」
「おう」
 あ、ふらふらしてんなあ。大丈夫かなあ。やっぱり心配。
「え、何。どないしたん?」
「うん、やっぱ連れてってやるよ。」
「ええから。ホンマに」
「俺もサボりたいんだよ」
 こんな口実お前の前じゃ意味はないだろうけど。
「さんきゅな」
「…おう」

 やっぱり俺って友達思いじゃね?

2008.04.21
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