俺様社長は左手で愛を囁く
【秀明side】

神宮寺翔は、一人の女だけを

愛することはない。

・・・

うわさではそう聞いていた。

それなのに、

隣にいた女性の手を、

それはそれは大事そうに握りしめ、

歩いていた。

・・・

その女性は本当に綺麗な女性だった。

・・・

しかも、

亡き、恋人にそっくりだった。

・・・

あまりにも似ていた為、

錯覚を起こしそうになったが、

こんな所にいるはずないのは分かっていた。

だから、

冷静に、もう一度、

彼女を見つめた。

・・・よく見れば、

ちょっと似ているだけ。

オレは彼女に微笑み、会釈をする。

彼女も軽く会釈したものの、

オレの顔から、

目線を逸らすことはなかった。
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