俺様社長は左手で愛を囁く
…それから数日は、

秀明に会うことはなかった。

・・・

そのおかげか、

少しずつ、前のように

翔の事だけを考えるようになっていた。

・・・

ホッと溜息をつき、

時計に目をやると、

午後9時。

もう、そんな時間か・・・

・・・

でも、今日はまだ、

翔は宣伝部には現れない。

きっとまだ仕事しているのね・・・

私ももう少しだけ、

仕事をしていよう。

そう思いながら、

仕事を始めた。

・・・


「あの、冬美さん・・・


オトシモノです」



「・・・え?」

突然の声。

私はデスクに向けていた顔を持ち上げると、

その声の主に、

優しく抱きしめられていた。
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