俺様社長は左手で愛を囁く
私は振り返る事も出来ず、

言葉だけで返す。

「・・・うん。

今日・・・出ていくから」


「・・・そんな体で?」


「翔に迷惑はかけられないもの・・

すべての荷物は無理だから、

引っ越し先を見つけ次第になるけど」

・・・

涙でかすんで前が見えない。

こんな顔を、

翔に見せるわけにはいかない。

翔を困らせる事は出来ない。

・・・

そんな翔も、

私が振り返らに事をいいことに、

私を抱きしめたい衝動を必死に堪える為、

握り拳を作っていた。

・・・

「せめて、体が元に戻るまで、

ここにいろ」


「・・ううん。それは出来ない」

そう言って私はスッと立ち上がった。

・・・が。

ふらついて、

その場にしゃがみ込む。
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