俺様社長は左手で愛を囁く
「田辺、美香」

宣伝部に入るなり、

オレは美香の名前を大声で呼んだ。

その声に驚き、

社員達が一斉にこちらを向く。

だが俺は、

そんな事お構いなしに、

もう一度、美香の名を呼んだ。

・・・

「…社長。

田辺美香は私ですが?

何の御用でしょうか?」


「大事な用件がある。

ちょっと来てくれ」


オレの言葉に、

怪訝な顔をする美香。


「私にはありませんが…

私の親友を傷つけた貴方には」


「…親友、

冬美の事、か?」


美香は黙って頷く。

「その冬美の事だ。

四の五の言ってないで、来い」

「え、ちょっと?!」
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