俺様社長は左手で愛を囁く
「その耳も・・・

完全に聞こえないわけじゃない。

かろうじて、人の言葉が理解できてる。

冬美の気を引くために、

全く耳の聞こえない人間だと装って、

現に、今オレの声は、

マイク、君に届いた・・・」


・・・

翔の言葉に、

マイクの体がビクッとなった。

・・・

完全には音を失ってない。

じゃあ、今までの事はすべて演技、

そうだったの、マイク?

私は悲しい目つきでマイクを見つめた。

・・・

「・・・そうだよ。

補聴器をつければ、

まだ今よりもっと、人の声を聞くことができる。

そして、

こうやって喋る事も出来る。

自分の父にも、その事は隠してた。

後継者と言う立場から逃れたかったから。

でも今は、継ぐことを決めた。

それは冬美が励ましてくれたおかげ。

僕の背中を押してくれたから。

だから、僕には冬美が必要だ」
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