俺様社長は左手で愛を囁く
その声の主は、

もちろん社長。

社長は自宅玄関ではなく、

自分の車から降りてきていた。

・・・

オレは咄嗟に冬美の前に歩み出た。

・・・

冬美も目線が合わないように、

社長から目線を逸らした。

・・・

「社長」

「…どけ、綾野」

「どきません」

「・・・何?!」

・・・

オレは初めて、

社長の言葉にタテをついた。

今までどんなことがあっても、

社長の言葉は絶対だったから。

そして何より、

社長の言葉を、信頼していたから。


・・・

「綾野、どういうつもりだ?」
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