俺様社長は左手で愛を囁く

冬美side

仕事、仕事、仕事・・・

午後は仕事にただただ没頭した。

・・・

それなのに、

ふと気を抜くと、

翔のあの顔を思い出す。

・・・

私へ向けるあの眼差しを…

・・・

ダメ、ダメ。

私には先輩がいる。

姿かたちはなくても、

私の心の中にちゃんといる。

・・・

大きく深呼吸をして、

また仕事に戻る。

・・・そんな時、

デスクの上に、部下の女の子が、

コーヒーが入ったカップを置いた。

「早乙女部長、無理しないでくださいね?

私が出来る仕事は何でも手伝いますから、

何でも言ってください」

そう言って微笑んだ。

私はお礼を言い、

でも大丈夫だと告げた。

・・・

そう、いつもの仕事量。

疲れるはずないんだから。
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