〜Story of one day〜
「くん、櫂くん」




「ん?誰?」




目を開けると後光が差して俺の前に1人の女の子が座ってた。





「あ。えーっと・・・」




「忘れちゃったかな?こないだ泣いて教室戻ったら櫂くん慰めてくれた7組の杉本佑衣です」




「ああ。何でこんなとこにいるの?また泣いてた?」




「フフ。違うよ。休み時間だから本を借りにきたら櫂くんが寝てたから見てた」




この間、いきなり宮部と笠井に頼まれた。放課後7組の教室で1人の女の子を待っててほしいと。



その子をただ慰めてほしいと。





「どういうこと?」





「あのね、あたしの7組の友達が自分の友達のために好きな人を譲ろうとしてるんだけど実は咲紀と海崎は両思いで・・・」




「あ、その子ならさっき会って話したわ」





学校にギリギリで着いた日、海崎の下駄箱の前で泣いてた子。



なんか気になって声を掛けて話を聞いたらそんなこと言ってた。
友達のために好きな人諦めるとか。




「それがね、どうやらその友達も海崎じゃなくて高瀬に憧れてたんだって」




「えっ?俺?」




「そう。だからあんたさ、その子慰めてくれないかな?」




「・・・・なんで?」




「だってその子には誰もいないから。海崎は今日その子と話すみたいでその後咲紀に告白するみたいで誰もいなくて傷つくのは可哀想。その子友達もあんまりいないタイプだからさ」




言ってることは支離滅裂。
でもやっぱりこいつは友達思いというか世話焼きというか。


まあ咲紀子ちゃんとも話して事情知ってるし。

咲紀子ちゃんも友達思いで正直あんな友達思いの子を次は好きになりたいななんて思ったんだよな。




2人のために人肌脱いでやるよ。
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