〜Story of one day〜
「・・・せっかく結婚式盛大にしたのに申し訳なかったね。こんなふうになるなら結婚式なんてしなかったら良かった」




「姉ちゃん・・・」





「・・・私みたいな思いをする人が少しでも減ればいいのにね」





姉ちゃん。
俺は姉ちゃんのあんな顔もう見たくない。




寂しげで切なげで苦しい横顔。



姉ちゃんは世界一幸せになるんだって
思ってた。




この女の相手の男にも姉ちゃんと瑞穂のような傷つかなくてもいい人がいるんだよな。




何も知らなくてただ家族の幸せな時間を過ごしているって勘違いさせられてる
可哀想な人が。




俺はこいつを止められる?



俺なら姉ちゃんみたいな思いを他の人にさせなくても済むんだろうか?




こいつを彼女にすれば。





「・・・俺、あんたに触れるの嫌だし。プラトニックだけど。それでも・・・いい?」




「・・・・それって彼女にしてくれるってこと?嬉しい。プラトニック彼氏でも新鮮でいいかも。でも櫂が我慢出来なくなったらいつでも触っていいからね」




そんなことあるわけないだろ。
頭の中は佑衣ちゃんでいっぱいだから。





でもごめん。
俺は姉ちゃんみたいな思いをする人がいるのを黙って見過ごせなかったんだ。




「今日から櫂はあたしのもの。あたしは櫂のものだからね」





佑衣ちゃん・・・ごめんな。
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