俺様と闘う私『一部・完』
 「むぅう……」


 知ったかぶりがバレてむくれる私。


 それでも認めずに白々しい態度を通していたら。



 「あれ、キャビアだよ。大丈夫。みんながみんな最高に美味しいと思ってるわけじゃないから」

 「ふぅーん」

 「ククッ」



 そうか、あれがかの有名なキャビア様だったのか!!!



 と感激した顔を一瞬浮かべてしまったけれど、どうにかその気持ちを押し殺してそっけなくした。


 けれどやっぱり笑われる。


 もう私は諦めた。


 いろいろと……



 すっかり気落ちして佇んでいると、また笑い終えた彼がクスリと笑って



 「ほらコレ食べなよ」



 サンドイッチ(と言っても、かなり美味しそうなカツサンド)を2つ乗せたお皿を差し出してくれた。



 これなら私にだって分かる。



 彼の行為を受け取ることに若干の抵抗を感じるものの、やはり美味しそうなサンドイッチに罪はないと思い



 「頂きます」



 ありがたく頂戴して口にした。



 「美味しいっ」

 「そりゃ、良かった」



 ニッと笑って私を見る彼の目が優しくて、私のササクレだっていた心も萎んだ。
< 121 / 213 >

この作品をシェア

pagetop